こうして、ジークとエイミは彼女の故郷の村へと向かうことになったのだった。

「あれがキノンの古城で、そこを越えるともうティーダン王国の領土に入る」
「うわぁ~大きい!」

 エイミはかなり古い時代に建てられたという城を眺めつつ、感嘆の声をあげる。
 器用に馬を操りながら、ジークはエイミにあれこれと案内をしてくれる。エイミは馬に乗れないので、ジークに抱えられるようにして彼の前に座っていた。

「大丈夫か? 慣れないと、お尻が痛くなるだろう」
「たしかに、ちょっと……でも、すごく楽しいです。私も自分で馬に乗れたらいいのに」

 ジークの言う通り、お尻と……腿のあたりも結構痛いが、騎馬での旅は想像以上に楽しいものだった。
 風を切って走るのは気分がいいし、どんどん景色が移り変わっていくので飽きることもない。

「それなら、乗馬を教えようか?」
「いいんですか? 是非、教えてください!」