「私は藤さんのことが知れて嬉しいけどね。こうして空をのんびり眺める仲間ができたし!」

瑠璃がそう言うと、瑠璃を見ていた沙織は本に慌てて目を落としていた。その耳が赤くなっているのを瑠璃は知っている。

「他の友達はさぁ、のんびり空を見てくれないんだよね。ライブ会場ではスマホずっといじってるし、カフェではインスタにアップするスイーツの写真撮ってお喋りして、空をジッと見てくれないんだ」

空を見上げるってこんなにも素敵なことなのに、と瑠璃は呟く。

「……確かに、風に当たりながら読書をするのも悪くはないわね」

とても小さな声だったが、沙織がそう言ったのを瑠璃の耳は聞き逃さなかった。瑠璃は目を輝かせ、「藤さん!!」と沙織の肩を掴む。

「デレた!あのツンデレ王女の藤さんがデレたよ!!ヤバい、感動!!」

「な、何馬鹿なこと言ってるのよ!!何でこんなことで感動してるの!?馬鹿じゃない!!」

沙織は顔を真っ赤にしてツンツンしている。瑠璃は「可愛い〜!!」と言いながら沙織の手を掴んだ。