『河合さん!!この薬って……』

沙織の顔は戸惑いに満ちていた。その薬の名前を見て沙織は瑠璃の病気に気付いたらしい。そのことが嬉しくて、瑠璃は気が付けば余命宣告されていることなどを話していた。

『そんな……』

人と群れない沙織がショックを受けている。沙織とは瑠璃もあまり話したことがなかった。そのため、沙織という人間に興味が湧き、沙織に言っていた。

『私には時間がない!と言うわけで、私の秘密を知った責任として友達になってもらうよ〜!!』

『はあ!?』

訳がわからない、と言いたげな沙織の腕を強引に沙織は掴み、そのまま友達数人とよく行くカフェに連行し、瑠璃が無理やり沙織に引っ付くことが多くなったのだ。

「あなたのせいで私は貴重な読書の時間を削られているんだけど」

相変わらず空を見上げる瑠璃に、沙織がため息をつきながら言う。瑠璃はようやく沙織の方を向いた。その顔は眩しいほどの笑顔だ。