「うわ…本当に学校だ…高校だ…」



ていうか、どうすればいいの。私。
これってつまり、過去に戻ってるってことだよね?
私、これからまた3年間高校に通うの?



朝カレンダーを見たら、どうやら今は4月の半ば。
入学式が終わってすぐってところか。
じゃあきっともう、クラスにもグループとか出来てんだろうな。



憂鬱になりながらも、私は1年2組の教室へ向かう。
確か、2組だったはず。間違ってなければ。
しかも、席は出席番号だった。
私は席順の紙を見て、合ってることを確認し、席に着いた。



はぁ〜…。
なんでこんなことになってんの。
朝起きたら過去に戻ってたなんて、笑い事じゃないでしょ。



私は机に突っ伏す。
これからどうすればいいのか考えてみるが、何もいい案は浮かんでこない。
どうしてこんなことになった?
どうしてしかも高校なの?
疑問がありすぎて頭がパンクする。
高校の頃に戻ってきてるとはいえ、能力などは23歳の私のままのようだった。
朝来る時の坂がキツいのなんのって。
部屋にこもりっきりになってから運動してない。
体力が途中で底をつき、坂の半分上がったところで休憩という体たらくを生徒たちに晒してしまった。



「はぁ〜…」
「なーに、ため息ついちゃってるの!」
「うわぁ!」



急に声をかけられ、びっくりして大きな声を上げる。
周りにいるクラスメイトたちにじっと一瞬見られたが、本当に一瞬だった。
スっと視線が外れていく。



「もうー、驚かさないでよ」



そう言いながら顔を上げると、



い、郁恵!



そこには昨日同窓会で会った郁恵を少し幼くした郁恵がそこに立っていた。
同窓会の時には胸の辺まであった髪も、今、高校の頃の郁恵の髪はバッサリ切られてあり、ショートヘアだった。



「ごめんごめん」



そうやってニカッと笑う太陽のような笑顔は、今も昔も変わらない。



「で、どうしたの?ため息なんか吐いて」
「う、ううん。何でもないの」
「そ?何かあったら言ってよね!」
「うん、ありがとう」



郁恵は誰にでも平等に接する。
皆に優しい。
だから、皆に好かれる。
私なんかとは大違い。



そういえば、この頃だったな。
“あのこと”に気づき出したのは。
まぁ、今の私の中身は23歳のままだから、関係ないけど。



その時、