その夜はベッドに入ってもしばらく寝付けず、ふと目醒めてラックに置いたスマホを手探れば朝の5時過ぎ。日の出もまだだった。寝返りを打ち、冷えた室内の空気に羽布団を被り直して目を瞑る。

・・・昨日から。小暮先輩のことしか考えられない。筒井君のあんな姿を目の当たりにしているのに、気が付けばあの人で一杯になってしまう。

あんな恋人同士でするみたいなキスをされるなんて。・・・・・・私を好きってこと?懐かしいだけじゃなく?

女の人には不自由してなくて遊びでもない。
“本気”・・・?

でも。
言われてない。
好きとは一言も。

筒井君は私に真っ直ぐ伝えてくれた、好きっていう言葉を。何時間も寒さに耐えて私を待ってた。別れ際の笑顔に胸を刺されて今でもジクジクと痛い。・・・痛い。

イトコ。
あの人の声。顔。腕。指。
思い出すと苦しい。ただ苦しい。

どうして違うのか、どこが違うのか。自分がどっちを向いているのかさえ。・・・分からなくてもどかしい。もう少しあと少し、欠けたピースがはまり込んだら答えも出る気はするのに・・・・・・。

悶々としている内にまた眠りに落ちていた。
深く寝入ってしまったのか、起こされたのはしつこく鳴り響くモニターフォンの音に、・・・だった。