「あ、春菊いらない」


「いやいや鍋に必須だろ、これがあるから味が締まるんじゃん」


「でもいらない」


鍋の具材の決定権はどうやら俺にはないようだ。

ばっさりと切り捨てられながら、俺はしぶしぶ春菊を元に戻す。

その後も俺の選ぶ具材はことごとく否定され、亮の要望通りの鍋が完成しようとしていた。

まぁ、味付けは俺の自由にできるしな。

どうせ台所に立つのは俺だけだし。