はぁ、とかなんとか間の抜けた声を出した俺は、「いやいいけど」とか返事をしながら店を出る。

自転車にまたがろうとして、自転車が俺の分しかないことに気付く。


「お前チャリは?」


「ないよ」


言いながら、亮はごく自然に俺の自転車の荷台にまたがった。


「いやいやいやいや」


「何?」


「何? って。何で普通に後ろ座ってんの、つーか俺運転手なの? ていうかお前歩くっていう選択肢は取らないの?」


「帰り運転してやるよ」


それならいいか、と考えた五分後、俺は額に汗をかきながら後悔することとなった。