私は忘れていたけど、龍は春とも連絡先を交換している。
春について何か知っているかも知れない。
その前提として春が居なくなったことは知っているのかな?
知らなそうだね...。
でも、聞いてみないと分からないよね?
「龍。あなたに聞きたいことがあるの。」
なんで忘れていたんだろう。
龍も何か知っているかも知れないのに...。
なんで思いつかなかったの?
自分にそう問いかける。
「ねぇ、龍は春がいなくなった事知ってるの?」
単刀直入に聞いた。
その方が分かりやすいしね。
「っっ。」
反応あり。知ってたんだ...。
そっか...。
「じゃあ、春が今居る場所は?知ってることがあったら教えてほしいの。」
私は真剣に"教えて欲しい"と伝えた。
真剣な目で。真剣な口で。
真剣な本心で。
「花は春が好きか?」
いきなりそんな事を言われた。
「好き?そんなのじゃ言い足りないほど愛している。私は春しか昔からの今だって...そして未来も春しか愛さない。違うっ、愛せないの。」
それぐらい愛してる。
中には気持ち悪い。
どんなけ依存してるんだよ。
という人も現れるかも知れない。
それでも構わない。
私は春が全て。
何を誰に言われたって春を愛することは止められないの。
「そうか。春しか愛せないか...。そうかっ。」
龍は自分にまた念を押すように2回も"そうかと言った。
「結論から言うと春がいる場所は知らない。」
あ、そうなんだ...。
知らないのかっ...。
そっか...。
春は誰にも場所を伝えないで出ていったように思える。
じゃあ、見かけた人じゃないとっ.....。
「でも、春から電話がきた。」と龍は短く答えた。
その時、私の胸は高鳴った。
龍には電話がきたんだっ‥。
それから龍は経緯を話し始めた。
龍side
俺は金龍の後始末をしていた。
星竜はあまり病院送りになる人が少なくなるようにしてくれたのか。
それともたまたまなのか。
ほとんど、重傷の人はいない。
みんな話せる程度には大丈夫。
手当てをした後俺は言う。
「俺のせいでごめんっ。本当にごめん!!」
みんなに深く頭を下げた。
ここには人生をここにかけた奴。
ここが居場所となっている奴がいる。
でも、俺のせいで解散をさせてしまった。
俺の欲でここの総長になり、
俺の諦めで喧嘩もせず、解散した。
言葉には一つひとつ責任がある。
それは総長の言葉は特にだ。
俺は春に解散するとハッキリ伝えた。
コイツらの事も考えずにっ‥。
なんて最低なんだろう。
「顔を上げてください。」
下っ端がそう言う。
顔を上げる?
それは出来ない。
俺はお前らの人生を奪った。
ここを奪った。
「俺はお前らのここを奪ったんだ。人生を‥‥俺の軽はずみな行動•言葉で。ごめんっ!」
俺はさっきよりも深く頭を下げた。
「あれで良かったんです。」
今、良かったと言ったのは、下っ端の中のリーダーだ。
え?なんでたよっ!
「ここの総長は最低な奴だったんです。色々と罪を犯してしまった人です。」
最低な奴‥。
罪を侵した人か‥。
「そうだ。俺達幹部でも、アイツは倒せなかった。強かった。だから、言いなりで今まで過ごしてきた。」
幹部の海という男が言う。
コイツはいい奴だ。
明るくた優しい。
「だから、元総長より強い龍が現れて倒してくれて感謝してるんだよ?ここにいる全員がね。」
僕の方がみんなに謝らないといけない。
アイツを止められなかった。
幹部なのにっ。
みんなを守らないといけないのにっ。
と後に付け加えて言ったのは鈴。
コイツは責任感が強く誰よりもここを想っている。
コイツもいい奴だ。
「だから頭をさげんとってや。俺らの方にも責任はある。」
この関西弁を喋るのは咲人。
軽い感じだが、人一倍周りのことを見ている。
観察力が優れているんだ。
「みんなっ。」
そんな風に思っててくれたんだな。
なんというか、気持ちを言葉で表すのが難しいが。
でも、俺は決めた。
いいや、この話をする前から決めていた。
「俺はここの金龍を解散させないようにアイツらにお願いしてみる。」