「昨日の夜、向こうの大通りがあるだろ?その中を曲がっていったところでだよ。」
あぁ、そっか。
それは・・・、春の家の前。
「見ただけ?それとも何か言ってた?」
そうだよね。家の近くか・・・。
せめて、何か言ってれば・・・。
行き先とかね。
「あぁ、そう言えば言ってたな。なんだったけなぁ、、、。」
そこ何とか!
それ重要です。そこがとても!!
それじゃないと私がここに来て1時間も時間を無駄にした意味が無い。
「あっ!思い出したぜ、、、。」
良かったぁ~。
これで手がかりをつかめる。
「白狼は、"ごめん。花っ。"って言ってたぞ?」
「それだけだけど。」とつけ加えて言った。
ハハッ。ダメだ。
もうダメ。春は私が好きなんだよね?
あの時、そう言ったよね?
でも、私と離れることを選んだ。
私なら、死にそうなくらい辛い。
もしかしたら、自殺をしてしまうかも知れないぐらい。
春が苦しんでる。春が心で泣いている。
急がないと。
「そっか~。教えてくれてありがとう。」
「他にはいない?」と言っても誰も返事をしない。
・・・・・・。
しょうがないよね。
会う確率も低そうだし。
多分春は一瞬しか家に帰ってきてない。
すぐどこかに言ったのだろう。
そしたら、ここの皆が会うのも確率が低くなるわけ。
「皆さんお邪魔しました。白狼について教えてくれてありがとう。そして、そこで気絶している総長さんに誤っといてください。本当にごめんなさいって。」
総長さんも、悪いが、私も悪い。
殴ってしまったんだから。気絶するぐらいのを。
ゆる~くしたんだけどね。
私は失礼しました。と言いスネークを出る。
みんなの顔はあっけらかんだ。
じゃね。本当にありがとう。
あれからスネークを出て今はホテルに向かっている。
明日は月華。
夜の方がいいかな?みんないるかな?
うん。夜にしよう。
でも、スネークの時みたいに予定が狂うかも知れないし、もう少し早く月華につこう。
そして、私はホテルの窓から星を見る。
今日も星が綺麗...。
ピカピカ光る星さん。
「あっ流れ星!!」
ラッキーだ。流れ星だなんて。
滅多に見れるものでは無い。
"春に会えますように"
そして、私は目を閉じた。
「おやすみ~」
「ねぇ、パパ。私は本当に記憶喪失なの?」
これは私の記憶。
これは記憶喪失で失った記憶喪失ではないけど。
私が"足りないもの"を探すのをやめた理由だったりもする。
「そうだ。ゴメンな...。守ってあげられなくて。」
そんなのしょうがないよ。
後悔したって時間は戻らないし...。
私がよそ見をしていた自分のせい。
それより聞きたいことがあるの。
「それより、私は何か大切なことを忘れている気がするの。何か知らない?」
真剣だった。真面目に知りたかった。
でも、パパは
「お前は知らなくていい。むやみに、探そうとするな。それに、大切な事と言われると何も知らない。」
パパも真剣に応えてくれた。
こんなに真剣になってくれている。
私を想ってくれているんだ。
いつもパパは優しい。でも、こんなに真剣なパパは久しぶり。
だから、私は"大切な何かを"探さなかった。
それを今私は後悔している。
私は探さない代わりに、ずっと星に聞いていた。
自分で探してない。聞いてるの、星さんに。
聞いても聞いてもピカピカ光ばかり。
でも、夢では誰かの声が聞こえてきた。
それが春だった。
今なら、分かる。
そんなある日。
「ねぇ、パパ.....っ。」
小さな声でパパを呼んだ。
でも、なにか大事な話をしてるみたい。
だから私はそこに踏みとどまった。
パパとママだ。
「あの子は記憶を戻したがっているわ。」
ママにはそう見えたのかな?
やっぱり凄いな。私の事なんて直ぐに分かっちゃうんだから。
「それは分かっている。でも花は記憶をきっと戻せば傷つくだろう。」
パパはとても過保護だ。
だからこそ、心配をしてくれている。
そして、記憶を戻して欲しくないらしい。
前の私なら、なぜ記憶を戻して欲しくないのか分からなかった。