何億もの星に想いをのせて。〜何度だってあなたを〜


っっ。

やっぱり花が裏切るはずがなかった。

裏切ってなかった。

それなのに、俺は憎んで憎んでばかりでっ.....。

"記憶喪失"か。

それだと色々と今までの事が合致する。

『花っ、ごめんっ!俺はなんてことを...。』

今までの自分の行為を振り返るととても酷いことばかりだった。

「春のせいじゃない、私のせいなの。だから謝らないで。」

俺が必死に謝るなか、花も必死にそれを否定した。


『だって、俺はっ・・・。』

「ううん、違う。」

俺の声に花の声が被った。

「私は記憶喪失の中、"なにか大事な事を忘れている''って気づきながらその正体を探さなかった。」

大事な事。

花にとって俺との思い出・俺の存在は"大事"だったのか。

「ごめんなさい、本当にごめんなさい。」

やめろ、謝るな・・・。

「春は私と離れる事を選んだ。でも、私は離れたくない。こんなに酷いことをしたけど、一緒にいたい。」

酷いのは俺の方だろ...?

花じゃない...。

「記憶が戻ってからずっと考えていた。毎晩毎晩、星に願いを込めて。」

俺もそうだよ、花。

ずっと願ってた。

"花が"

"花が"

って全部花のことだらけ。


「もう春から離れない。離れたくない。」

花から涙の大粒がポタポタと落ちていく。

『泣くなよ、花。』

俺はそっと花の涙を拭った。


花の肌に触れたのはいつぶりだろうか。

俺の凍りついていた体が少しずつ溶け始めていく。

やっぱり花は俺の光。

『・・・俺の事を憎んでないのか?』

少し声が震えた。

いや、かなりだ。

「全然っ!・・・春は私のことを憎んでない?」

そんなの決まってるじゃないか。

『憎むわけないだろ。』

愛おしすぎて憎めるはずがない。

「・・・ねぇ、春の本音は?どうしたい?」

どうしたい...?


そんなのとっくの昔から決まってるいる。

いつも答えは1つだった。

『俺は花と一緒にいたい。花の笑顔が見たい。これからも。』

「私もっ」

花は満足そうに答えた。



『なぁ、キスしても...いいか?』

少し恥ずかしそうにして、コクリと頷いた。

可愛すぎるんだよ...。

優しく花にキスをおとした。





end

あの後、私は星竜に泊まることになった。

春は寮に帰った。

私はまだ春に秘密にしていることがある。

それは・・・

"私が同じ大学にいる"星花"ってこと"

春も気づいてないよね。

今思うと少し気づいて欲しいような気もするんだけど...。

もう少しだけ待っててみようかな・・・。

1週間ぐらいだけなら...いいよね。

「きらら、行こー!」

私達は寮を出た。


私は寮に帰った後、すぐにきららに話をした。

"春と会ったこと"

"春が一緒に居てくれると言ったこと"

「きらら、ほんとにありがとう」

なんて言ったら

"私は何もしてない。頑張ったのは花だよ。"

そう笑顔で言ってくれた。

私が想いを伝える事が出来たのは、

皆のおかげだよ。

皆が手伝ってくれなかったら、

春は見つからなかった。

星竜のみんなも、龍も、きららも。


感謝だけじゃ足りないよ。

私は皆に一斉送信でメールを送る。



"1週間後、星竜に愛しの人と戻ります"



その一言。

大事な事は自分の口から。






春side

花に会ってから、3日が経った。

最近、俺の周りでは変化が生じた。

1つは、"心"の変化。

今の俺はとてもスッキリしている。

そして、夜空も綺麗に見える。

これは"花"のおかげだな。

そしてもう1つは、大学で出会った"星花"の変化。

前までは少し遠慮しているように見えたが、今は違う。

「はーる!私、夜桜を見に行きたいなぁ。」

夜桜...?

なんでだ?

花とは約束していてまた一緒に行こうと思ってるけど。