え、いい感じ...!
2人を見ると手を繋いでいた。
安心させるため...かな、、
そっか、そっか。
きららの顔を見ると少し赤くなっていた。
そんな顔しちゃって~。
乙女だなぁ、きららは。
まぁ、私もさっき赤くなっちゃたんだけど...ね.........。
それは誰も知らない。
目の前の2人も、春もね。
私だけの秘密。
「はーい、では今から天体観測しまーす!」
部長さんがそう言った。
待ちに待った天体観測・・・!
周りからも「ィェーィ」と言った喜びの声が上がっている。
「じゃあ、最初に見る人から順に・・・」
車で顧問に何台か望遠鏡を持ってきてもらった。
それを交代交代に見るらしい。
後は大学で借りた双眼鏡を使うそう。
初めて見るなぁ。楽しみ...!
私と春はもちろんペア。
そして、きららと日坂先輩も...。
まだ順番まで少し時間がある。
「春ー、あっちで少し星を見よっ?」
『あぁ、そうだな。』
あれ、また少し距離が出来たような...。
いや、気のせいかも...っ。
気にしない、気にしない。
そう思いこんでもやっぱり気にしてしまう自分がいる。
でも、なんでなの...?
分からないことだらけだよ、貴方といない間の1年半。
何を思って何を考えているのか。
どうして今も距離を置くのか。
そもそも私と離れる必要なんてなかったじゃない。
まずはそこから入る。
それから今の星花があるんだから。
私は傷つけられたというより、私があなたを傷つけたと思ってる。
だからあなたが責任を負うのは嫌。
私が責任を負う。でもね、離れるのは嫌なの。
だからもう絶対離れない。
私が春を幸せにする。
だから一緒にいようよ...。
ずっと隣で笑っていたい。
「よ~し、ここでいいかな。」
私たちはよく星の見える場所でレジャーシートを敷く。
『・・・。』
さっきから春は黙ったまんま。
でも、もういい。
気にしない。
寝転ぼーっと。
私が寝転んだら春も寝転んだ。
少し距離を空けて...。
「・・・キレイ。」
寝転んだ瞬間、私の前には何億という星が・・・。
何億まではいかないか・・・。
でもキレイ。一つ一つがそれぞれ光っている。
白、赤、黄色、黄緑、、、
同じ色でも少し違うように思う。
双眼鏡より私は普通に見る方が好きかも...。
「私ね、こうしてると星の世界に入ったように感じるんだ...。」
星しか見てなくなる星の世界。
星だけの世界。
「そしてそこに閉じ込められた気分になるの。」
だって星から目が離せないもの。
そして、これは言わないけど・・・。
二人の世界にいるような感じ。
星と私と春。
星の世界に私達2人が閉じ込められたみたい。
「春。」
『・・・その名前で呼ばないでくれっ!』
"その名前で呼ぶな"って言った?
いきなりどうして...。
さっきから距離があるのもそのせい...?
『・・・悪い。』
それしか言わなかった。
「・・・なんで呼んじゃダメなの?」
正直聞くのが怖かった。
でも、聞かないとこれ以上進まない気がするの。
私が勇気を出して行動しないと、
春と一緒にいる未来はない。
『なんでか...。ハハッ。』
春は切なそうに笑った。
"お前には話してもいいように思えるんだよな...なんでかな"
『俺には愛している人がいた。』
愛している人。
『今もまだ好きだけど俺はその子から離れていった。』
まだ好きか...。
それは私の事...?で合ってる?
そうだと嬉しいなあ。
『でも、忘れたくても忘れられない。お前の声までその子に聞こえてくるんだ。』
私の声がその子に聞こえてくる...?
今話しているのがもし私のことなら、、、
それでさっきから距離があったのね。
それだけじゃない。
今まで変装は完璧だった。
ほとんど顔は見えないし...。
でも、まさか声まで気づくとは思わなかった...。
どうしよっ・・・。
まだ色々と聞かなきゃ行けないことがあるのに...。
今バレては...。
『まぁ、それは幻聴だけどな...。ごめんな、こんな気持ち悪い話して・・・。』
静かな空気の中だとよく聞こえる。
本人は私に聞こえないと思っているかも。
だけど
"花がこんな所にいるはずないのにな......."
って確かに聞こえた。