何億もの星に想いをのせて。〜何度だってあなたを〜


今俺は天文サークルの天体観測に来ている。

今日も俺は花のことを考えながら散歩をしていたんだ。

歩くと気が紛れるかと思ったけど、やっぱり紛れない。

だいぶん歩いたし、木の下で休憩しよう。

『はぁ・・・。』

花。

そう言えば花と俺はよく一緒に"きらきら星"を歌ってたなぁ。

『・・・きらきら・・・ひかるお空の星よ~』

懐かしさなのか、花がここに居ると思いたいのか・・・

俺は歌いたくなった。

今はまだ暗くはない。

どこか切ない空に俺は手を伸ばす。

今、花も同じ空を見てるといいなぁ。

まだ夕方だから見てないか・・・。

『・・・はな。』

もう会えないのに・・・。

もう会わないのにっ。

会わないって、傷つけないって決めたんだろ??なぁ、俺!

なのに、なのにさ・・・どうして・・・

どうしてこんなにも会いたくなるんだよ・・・。

本当に会いたくて会いたすぎてたまらない。


俺のこの想いを向けていた花はここには居ない。

これからも・・・。

じゃあ、どこにこの想いをぶつけたらいいのか。

どこに向けたらいいのだろうか。

『・・・っ。』

泣くなっ、止まれ。止まれ止まれ。

今まで1年半必死に耐えてきただろ?

その努力が無駄になる

やめろ、泣くなよ俺。

『なんで止まらないんだよっ』

どうやら俺の感情は自分自身で操れないらしい。

男が泣くなんて・・・。

それも花と会えないこと。

会ったら行けないのに会いたいという矛盾。

自分のせいだ。

全部自分が悪いのに・・・。

泣くなよ、自分で決めたんだろ・・・?



いつかこの想いが消えるまで、

俺が花を忘れるまで

耐えるんだ。


でも、分かってる。

俺はこの想いは死ぬまで残る。

残り続け、絶対に花を忘れられないということを。



ごめんな...。

花。

ごめんな...。

俺の本心。





春end


『・・・はな』

私はさっきまで春の歌を聴いていた。

でも突然、空に手を伸ばして"はな"と私の名前を呼んだ。


えっ.....。私の名前...?

私の名前を春は呼んでくれたの.....、、?


え、え、えぇ...?

ちょっと待って。

どうして泣いてるの?

何でいきなり・・・。

『なんで止まらないんだよっ。』

そう言って彼は涙をぬぐってもぬぐっても涙は溢れていくばかり。

本当にどうして泣いてるの?



私は今までに1度たりとも

春が泣いているところを見たことがない。


今日、初めて見た。


私はさっき来た道を少し戻り、そこから気配を出してまた春の元へ戻った。

私が気配を消して、いきなり現れたらバレるかもだよね・・・。

まだバレてはいけない。


「あっ、春っ!探したよぉー?」

私はさっきの事を見てなかったように話す。

今来たというように。

春はもう泣き止んでいた。

でも目が少し赤いなぁ。


『星花・・・。』

そう言って彼は少し顔を下に向けた。

目が赤いのを見られたくなかったのかな・・・。

強がらなくてもいいのに・・・。

「春・・・なんで目が赤いの?どうかした?」

理由が聞きたい。

なんで泣いていたのか。

それが知りたい。

それを知ることで私は、春が私と離れることを選んだ決意をどうにかできるかもしれない。

聞いてみないと分からないけどっ...。


『泣いてねぇーよ。』

そんなに強がらなくてもいいんだよ・・・。

私に弱音を吐いてもいいんだよ。

むしろ見せてよ、

受け止めるよ、

聞くよ、いくらでも・・・。

「私達、友達でしょ?悩みがあるんならっ」

『うるせぇーよっ・・・!!』

っっ・・・は、る?

『悪い、少しイライラしてて・・・。』

イライラか・・・。なんでだろっ...?

「ううん、私こそごめんねっ。」

いきなりすぎた・・・。

失敗だ、もっと慎重に聞かないといけなかった。


「そう言えば、ご飯出来たって。それを言いに来たのー!」

私は気まずくならないように明るめのトーンで話す。

私のせいで春を怒らしちゃったし・・・。

『飯か・・・わざわざ呼びに来てくれてありがとうな...。』

いえいえ。



私達は皆がいる所へ戻った。

「きらら、お待たせー!」

ちょっと遅くなっちゃった.....。

「あ、星花!遅かったねぇ〜。心配したよー。」なんて言いながら顔は緩んでる。



何億もの星に想いをのせて。〜何度だってあなたを〜

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