初めて本当のあなたを見れた気がした。
殺したかった。憎かった。
そう言われて少しは悲しかった。
でも、本当のあなたを見れた方が嬉しいの。
だから嬉しさが勝っていた。
そっちのあなたの方が好き。
もっと見たい。あなたの本心を。
あなたに好きと言われたい。
気づいた時にはそう思っていたの。
あぁ、私は春に恋してるんだ。
この気持ちに気づけて嬉しかった。
なんだか、昔も味わった事があるような...。
全く思い出せないけど。
私はこの記憶を取り戻したい。
取り戻しさないと行けないの。
それが私の責任。
多分、私が春を黒く染めた原因だろう。
また、聞きたい。
聞いて、あなたと話したい。
本当のあなたと向き合いたい。
春が好き。それは、あなたが憎んでても殺したいと思っていても変わらない。
私はあなたが好きだもの。
そう思っていたの。ずっと私は。
「花っ花!」
私を呼ぶ声。
春?いや、違う。
春の声は優しくて、強くて、心地いい声。
そっと目を開けた。
白い天井。ピッーピッーと音が鳴っている。
横を見ると
「翔...。みんなも、、。」
幹部全員がいた。いや、春以外。
みんなそんなに心配そうな顔して...。
大丈夫だよ。元気だよ。
「心配しないでよ。元気だよ?」
体はね。心はその反対。
昨日春が言っていたこと。やっぱり思い出せない。
私は恋人だったんだよね?
でも、あなたの記憶を思い出せない。
こんなにも思い出したいと思っているのに。
「心配するに決まってるだろ?あの話でっ...いやなんでもない。」
翔。ありがとう。
心配してくれて、気遣ってくれて。
でもね、
「大丈夫だよ。私、春が私を殺したいって知ってたの。」
翔だけではなく、歩夢と陽もそれに反応する。
「ちょっと詳しくお願い出来ますか?」
「そうだよぉ。殺したいの知ってて倉庫に入れたの~?」
「花。」
歩夢は少しブラックオーラが出てる...。
陽は少し焦っていて、翔に関しては「花。」しか言わない。
それが一番怖いんだよっ!
これは最初から説明しないとね。
どこから説明したら?
殺したいって方?
それとも、記憶喪失?
実は記憶喪失のことも皆とは会う前になったから、知らないんだよな。
普通に生活出来るし。
みんなには言わなくていいと思ったの。
でも、ついに言う時が来た!
「聞いてくれる?私の全てについて。」
殺したいってことも。
記憶のことも。
私の全てに関わっている事だ。
まだ、記憶は思い出せないけど、分かっているところだけ聞いてもらおう。
いつかは話さなきゃいけなかったしね。
「私のす、べて...?」
3人ともそう思っていだろう。
私は闇がない。いや、思い出せないだけかも知れない。
春についてで闇があるかも知れないし、もしくはできるかも。
私には星竜にみんなに秘密にしていることが多い。
多すぎたんだ。
ごめんね。ずっと黙ってて。
聞いてください。
ー私の全てをー
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私は生まれた時から
怖い顔の人達に囲まれていた。
パパとママは優しそうな顔の人。
それ以外の人はみんな怖い。
最初は怖くてよく泣いていたのを今でも覚えている。
時にはパパに「怖い顔の人が私をずっと見てくるよぉ~。」と言ったり、
時には「ママっ、ママはなんで平気なの?」と言ったりもした。
でも、パパもママはいつもこう応えた。
「本当はすごく優しい人達だ。」と。
最初は理解出来なかった。
大好きなパパとママがそういうけど、やっぱり怖かった。
でも、ある時勇気を出して顔の怖い人達に話しかけて見た。
「ねぇ...あなた達の名前は?」
少し声が震えていただろう。
でも、知りたかった。パパとママの言葉を信じて見たかった。
「・・・。」
なんで黙ったままなんだろう?
すると3人の男が嬉しそうに涙を流した。
あれは今でも忘れられない。
「お、お嬢様が...お嬢が!!」
1人の男がこう言っている。
お嬢?私が?お嬢様?
違うよ。私は花だよ。花って名前だよ。