美冬は彼の胸に何かが現れたのを知覚した。僅かに顔を上げると左胸に青リンゴのワッペンがあった。一口囓られたようなデザインで囓った位置には薄緑色の宝石がはまっている。
……これは。
美冬は息を呑み、はね除けるように彼から離れる。精霊の存在はかなり前から見知っていた。「それ」はとても身近な存在だ。万物に「それ」は宿る。物や植物、動物に限らず事象や感情にさえ「それ」はいた。
彼女はまじまじと彼を見た。知らず口を半開きにさせていた。先程とは異なるリズムで心臓が鼓動する。彼がもう普通の人間ではないと認めるしかなかった。幼馴染みの、あの秋人はもういない。
彼は秋人だけど秋人じゃない。
「この町を離れる前にここに来て良かった」
彼が静かに言った。
青リンゴのワッペンの宝石が光る。きらりと輝くその光は何かを訴えているようでもあった。
彼が寂しそうに笑う。
「僕は星神島に行かなくてはならない。どうしても探さなければならないんだ。そのためにこの精霊と契約した」
……これは。
美冬は息を呑み、はね除けるように彼から離れる。精霊の存在はかなり前から見知っていた。「それ」はとても身近な存在だ。万物に「それ」は宿る。物や植物、動物に限らず事象や感情にさえ「それ」はいた。
彼女はまじまじと彼を見た。知らず口を半開きにさせていた。先程とは異なるリズムで心臓が鼓動する。彼がもう普通の人間ではないと認めるしかなかった。幼馴染みの、あの秋人はもういない。
彼は秋人だけど秋人じゃない。
「この町を離れる前にここに来て良かった」
彼が静かに言った。
青リンゴのワッペンの宝石が光る。きらりと輝くその光は何かを訴えているようでもあった。
彼が寂しそうに笑う。
「僕は星神島に行かなくてはならない。どうしても探さなければならないんだ。そのためにこの精霊と契約した」