*
翌朝。
美冬は店の窓から港を眺めていた。
赤茶けた船体の連絡船が出港の時を待っている。コンテナを運ぶフォークリフトの黄色い車体が溶けた雪で濡れたコンクリートの暗い灰色に映えていた。一列に並ぶ人々は乗船手続きをする人たちだろう。
その中に昨日目にしたコートの人物を見つけ美冬は「あっ」と小さく声を漏らす。
風が走り抜け、コートのフードが外れた。縦巻きロールの亜麻色の髪がはっきりと彼の存在を主張する。片手にトランクを持った彼は流れに沿うように進みタラップを上り始めた。
秋人。
これから彼は船で南西に向かい、そこで星神島行きの連絡船に乗り換える。もう戻ることのできない片道切符だ。今生の別れという言葉が頭に浮かぶ。秋人は……ミセスと会うことはもう叶わないだろう。
美冬が島を訪れることもない。
翌朝。
美冬は店の窓から港を眺めていた。
赤茶けた船体の連絡船が出港の時を待っている。コンテナを運ぶフォークリフトの黄色い車体が溶けた雪で濡れたコンクリートの暗い灰色に映えていた。一列に並ぶ人々は乗船手続きをする人たちだろう。
その中に昨日目にしたコートの人物を見つけ美冬は「あっ」と小さく声を漏らす。
風が走り抜け、コートのフードが外れた。縦巻きロールの亜麻色の髪がはっきりと彼の存在を主張する。片手にトランクを持った彼は流れに沿うように進みタラップを上り始めた。
秋人。
これから彼は船で南西に向かい、そこで星神島行きの連絡船に乗り換える。もう戻ることのできない片道切符だ。今生の別れという言葉が頭に浮かぶ。秋人は……ミセスと会うことはもう叶わないだろう。
美冬が島を訪れることもない。