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 万物に精霊は宿る。
 それは想いという概念にすら該当した。美冬が交通事故で命を落とし、彼女を悼む人々の想いが一つの奇跡を生んだ。大本が彼女の家族なのかまわりの人たちなのかは定かではない。しかし、彼女が事故死し、秋人が幼馴染みを蘇らせようとその方法を模索するようになってしばらくしてから、彼女はここに目覚めた。そのときには家族は別の土地に引っ越していたがそんな事情とは関係なく彼女は在り続けた。
 正確には彼女とこの建物が、ではあるが……。