「じゃあ志葉くん、お願いね」



数学の松川先生に浅岡の面倒をみるように言われたのは、2年生になってまだ一か月も経っていない時のこと。


自分の数学の成績が良いことなんてそりゃ分かっていたけれど、この学年で'頭脳底辺で変人で、顔だけが無駄に良い'と噂されている彼女の子守って、雑用にもほどがある。


まあどうせ1回だけだろ と、安易に引き受けてしまったのがいけなかった。

自分がまさか、――そのたった1回で彼女に惚れてしまうと知っていたら、絶対引き受けなかったのに。