「…そーだよ」

「ふ。全然しらなかったよ」

「そりゃそうだろ。そんな変な理由で告られたって意味わかんねえじゃん」

「志葉、自分の告白よーく振り返って。頭悪いところとかバカなところとか数学出来ないとことかが好きって言ってたよ。十分変だし悪口だった」

「もー、それはごめんってば。緊張して言わなくていいこと言っちゃったんだよ」

「言い訳が上手だね」

「怒んないで浅岡…」




相変わらずよく伸びる頬。むっとした顔。

…と、上目遣い。こればっかりはホントに弱い。



だってさぁ、ホントに可愛いんだ、浅岡は。



他の女の子がやってても絶対何も思わない自信があるのに、浅岡がやるともう破壊力がやばすぎる。


やめてって言ってるのに全然やめてくれないし、狙ってやってくることもあるからタチ悪い。


…で、多分今は無意識だと思う。
どっちみちかわいい。結局かわいい。




浅岡に恋をする予定なんて、俺が描いていた未来にはこれっぽっちもなかったはずなんだ。

“無駄美人”の浅岡ゆらのだけが俺の世界できらきら輝き始めたのは、懐かしむにはちょうどいい この春のはなしだ。