白、ピンク、オレンジ、緑、茶色、青。
「こんなにあるんだ!」
アイスクリームの入ったゲージをガラスごしに覗きこむ。
「そこにあるお皿にすくって入れるんだ」
「すくう? なにで?」
「ディッシャー」
大きなスプーンのようなものが水につかっている。あれか。
「かったい!」
「そんくらい普通にとれるだろ」
「無理」
ストロベリーアイスをすくいあげようとするも、まったくとれない。
「カチコチなんだけど」
冷えすぎなんじゃないの。
「貸せ」
となりから、ひょいとあたしが握るディッシャー奪うと
「ストロベリーでいいんだな?」
「え、うん」
いともかんたんに、アイスをすくいあげてしまった大地くん。
「すご」
「お前が力なさすぎるんだ」
「さすが毎日鍛えてるだけある!」
「……いや。だから。お前が」
おおお!
と、後ろから声がすると思ったら
「兄ちゃん、すげー」
「おれにもとって」
子供たちにヒーローを見つめるような眼差しを向けられているではないか。