「一人で帰ってたの?」
「俺だけ外泊許可とってなかったからな」
「なんで?」
「言い訳できるだろ」
乗り気じゃなさそう。ほんとにただの付き合いって感じ。
「相手。どんな人だった?」
少し間があいたあと、
「たしか。あのときは。看護師」
思い出すように、大地くんが答えた。
「……オトナのオンナ」
「もう顔も覚えてねーよ」
ちょっと待って。
――――あのとき"は"?
「よくあることなの? 合コン」
「いや。そんなに頻繁には」
「でも何回か行ってるんだ」
「まあ呼ばれたら」
「ねえ。それって。……あたしと出会ったあとも?」
別にあたしは大地くんのカノジョじゃないし。大地くんは先輩の付き合いで参加してて。
そうでなくとも責める理由なんか、ない。
「行った」
やだ。バカ。
嘘でも行ってないって答えてよ。