「……会場のどこで葵に会った?」

「……えっとたぶん、会場の前」

「……それ、変じゃないか? 遺族なら、会場の前で泣かないだろ。普通、会場の中で泣くハズだ。片付けをしながら泣いてたとかならまだしも、会場の前でただ泣いてたのは変だ」

俺は思わず目を見開いた。

――その通りだ。

「……言われてみればそうだな」

「ああ。ミカが式が終わってからだいぶ経ってから会場にいったならまだしも、そうじゃないんだろ? それならかなり変だ」

――どうして今まで気づかなかった。

あいつは一体、何者だ?

「仁、俺……葵と話してくる」

「俺も行く。もし一人で行かせて、お前になにかあったらと思うと気が気じゃないんだよ」

「……ありがとう」

俺は作り笑いをして、礼を言った。

「ああ。そんじゃ、行くぞ」

仁は俺の頭を撫でて、笑った。