「……ただ、できないんだよなー。自分に子供が出来るのも、子供を育てることも全く想像できない」

 頬を描いて、悲しそうに仁は言う。

「華龍といるのは楽しい。すげぇ楽しいよ。でもさ、一生このまま子供とか作んないで男だけで生きるのは少し嫌だよ。嫌だと思うけど、子供作る自分も、育てる自分もぜんぜん想像できないんだよな。それが悲しいし、寂しい。……どうしようもないけどな」

 仁は俺に作り笑いを向ける。

「……伊織と付き合う気はないのか?……俺が血流入ってた時、伊織といい感じになってただろ。俺の仁への態度みて、伊織が怒ってくれてたじゃん」

「あれは別に、いい感じになってたとかじゃない。あいつが気遣ってくれただけ。……俺、女と付き合うとか無理だし。……母親のことがあるから、女は基本信用出来ない。……まぁ伊織は結賀の幼なじみだし、付き合いが長いから他の女よりは信用してるけど、そんだけ。今更恋とかには発展しねぇよ。……ミカは?」

「え?」

 急に話をふられたのに驚いて、俺は目を見開く。

「立花、どうすんの?」

「……どうしよう」

 小さい声で、俺はつぶやく。

「……まだ好き?」