「じゃあ、再生するね!……ああ、ちょっと待って、やっぱりまだダメ!どっかミスあるかも、もう一回確認してから!」
「ちょっと、さっきからそればっか。良いから見せてよ」
「あっ!嘘!ダメって言ったじゃん!」
どうやら、僕が帰るまでこのやり取りが何度もあったらしい。
完璧を求めてなかなか見せてくれないケンゴに焦れた美矢は、ノートパソコンを奪い取り、編集ソフトの再生ボタンを軽快に押した。
流れ出す柔らかなBGMと、島の美しい風景。道に設置した小さなカメラで撮ったらしい映像に切り替わると、映りこんだ猫がゆらゆらとしっぽを動かし歩いていく。
遠くから、カーキ色のパンツの足元が映りこんだ。あの日、美矢の履いていたパンツだ。
人懐っこい野良のその猫が足元に絡まり、しゃがみ込んだ美矢の灰色混じりの黒髪が画面に映るも、絶妙に顔が見えないように処理された映像。
まだメインの弾き語りではないオープニング映像。けれど、島の情景とか、美矢と猫とのやり取りや画角、全体の色味の程よいバランスに、既になんとも言い表せない優しくて懐かしい気持ちに包まれ引き込まれる。
「ちょっと、さっきからそればっか。良いから見せてよ」
「あっ!嘘!ダメって言ったじゃん!」
どうやら、僕が帰るまでこのやり取りが何度もあったらしい。
完璧を求めてなかなか見せてくれないケンゴに焦れた美矢は、ノートパソコンを奪い取り、編集ソフトの再生ボタンを軽快に押した。
流れ出す柔らかなBGMと、島の美しい風景。道に設置した小さなカメラで撮ったらしい映像に切り替わると、映りこんだ猫がゆらゆらとしっぽを動かし歩いていく。
遠くから、カーキ色のパンツの足元が映りこんだ。あの日、美矢の履いていたパンツだ。
人懐っこい野良のその猫が足元に絡まり、しゃがみ込んだ美矢の灰色混じりの黒髪が画面に映るも、絶妙に顔が見えないように処理された映像。
まだメインの弾き語りではないオープニング映像。けれど、島の情景とか、美矢と猫とのやり取りや画角、全体の色味の程よいバランスに、既になんとも言い表せない優しくて懐かしい気持ちに包まれ引き込まれる。