「お兄さんが帰ってくるまでの間ならいいわよ」
私がそう言うと、男性は器用に塔の壁を登って私の元に来てくれた。そして私の手を取り、優しく口付ける。お兄さんとは違う感触に、私の胸が高鳴った。
男性は隣国の王子様らしい。王子様は本の中でしか知らない存在で、どんな風にすごいのかわからなかったけど、その日から男性はよく私に会いに来てくれた。
そして、ある時言ってくれたんだ。
「僕と結婚してほしい。一緒に隣国へ行こう」
結婚ということはあまりよくわからないけど、男性と一緒にいたいという気持ちの方が強かった。だから私は頷いてしまったんだ。
「ねえ、今誰のこと考えてたの?俺以外だったら許さないよ?」
「……お兄さんのこと以外、考えてないよ」
私は今、あの塔の中にいる。お兄さんに連れ戻されたんだ。連れ戻されてから男性には会えていない。どうして会えないのか訊いたらお兄さんは怖い顔で怒ってきて、それからは質問することも考えることもやめた。
私がそう言うと、男性は器用に塔の壁を登って私の元に来てくれた。そして私の手を取り、優しく口付ける。お兄さんとは違う感触に、私の胸が高鳴った。
男性は隣国の王子様らしい。王子様は本の中でしか知らない存在で、どんな風にすごいのかわからなかったけど、その日から男性はよく私に会いに来てくれた。
そして、ある時言ってくれたんだ。
「僕と結婚してほしい。一緒に隣国へ行こう」
結婚ということはあまりよくわからないけど、男性と一緒にいたいという気持ちの方が強かった。だから私は頷いてしまったんだ。
「ねえ、今誰のこと考えてたの?俺以外だったら許さないよ?」
「……お兄さんのこと以外、考えてないよ」
私は今、あの塔の中にいる。お兄さんに連れ戻されたんだ。連れ戻されてから男性には会えていない。どうして会えないのか訊いたらお兄さんは怖い顔で怒ってきて、それからは質問することも考えることもやめた。