「えっ、なに……嘘でしょ……」

「ヤバくない……?」

わたしの座る席からは良く見えなかったものの、先生の倒れている付近の席のクラスメイト達が一斉に騒ぎ始めた。

その様子に気付いた遠い席の子も立ち上がりその様子を確認する。

わたしも立ち上がり、周りのクラスメイト達の間からその様子を見つめた。

「嘘……」

思わずそんな言葉がわたしの口から自然と零れ落ちていた。

床の上で倒れ込んで体をくの字にしてお腹を押さえていた伊藤先生の下半身からドロドロとした真っ赤な液体が流れでている。

目の前の光景を脳が拒絶する。なにこれ。嘘……。どうして……?

「お願い……誰か、早く先生を呼んできて……」

先生は苦しげな声でそう頼むと、目をギュッとつぶった。

先生の目から涙が溢れている。

その間にも先生の周りにはドロドロとした血液が更に広がっていく。