高校で徒歩通学になった私たち双子は、時間にゆとりがあるため、2人並んでゆっくりゆっくり歩いていた。
「ねーお兄ちゃん、緊張しすぎてお腹痛い」
「はー?ばーか牛乳のせいに決まってるだろ」
「違うのー」
私たちはほんとにくだらない話をしながら高校へ向かっていた。
あ〜、今までは友達多かった方だと思うけど、なんか友達いるのがあたりまえすぎて作りかた忘れちゃったんだよなぁ。
イケメンで優しい人なんて、いないかなぁ。
あ、メンクイではありませんけど!

いろいろ考えているうちにあっという間に学校に着いてしまった……。
やばい、緊張と牛乳でお腹が死ぬ……っ。
私の悪い顔色を見て何かを察したお兄ちゃんが口を開いた。
「あほが……」
お兄ちゃんは小声で言ったつもりなのだろうけど、人間誰しも地獄耳というものを持っている。私にはちゃんと聞こえた。
「はぁ?!なーに?もっかい言ってごらんよシスコンがっ」
口喧嘩なんてちょくちょくある。
極普通の家族。
あ〜平和だなぁ。なんて、呑気なことを思っていると、
「うっざ!おまえなんてしーらね。おいていこーっと」
お兄ちゃんが小走りで校舎に向かった。
え!ちょっと1人なんて嫌だよ!
「待ってよごめんって」
私は焦って周りに聞こえるような大声で叫びながらお兄ちゃんを追いかけた。
あ〜今私変人って思われてんだろうな……。
恥じらいながらも必死にお兄ちゃんを追いかけた。
「はぁやっと……追いついたっ……わぁっ」
中学の頃バスケ部だった私は部内でも特に足が遅くて体力がなかった。
でもなぜか副キャプテンだったんだよね……。
やっとお兄ちゃんに追いついた私は、
「も〜おいてかないでよっ」
と言ってお兄ちゃんの顔を覗き込んだ。
すると、お兄ちゃんの頬がどんどん赤くなっていった。
……気がした。
どうしたんだろ?
私がもっとお兄ちゃんの顔に近づくと、
「おい、あっつい離れろ」
と言われた。
なーんだ暑かっただけか〜。
「心配して損した〜」「何がだよ」とかいう会話をしながら私たちは校舎に入っていった。