それから、1ヶ月がたった。

6月の私の誕生日に2人で日帰り旅行するつもりだ。

そのために色々と計画を立てていた。

その時の紫葵は、とても楽しそうだった。

この前は元気がなかっただけなのだろう。

そう思っていた。

日がたち、6月に入った。

今日は日帰り旅行の日だ。

ずっと楽しみにしていた。

観光して、遊んで、知らないところを沢山まわった。

色んなものを買ってお土産も買って。

とても楽しい時間が過ぎていった。

やがて帰る時間になり、駅のホームで電車を待っていた。

「あ、電車が来た!」

そう思った瞬間、紫葵が言った。

「今までありがとう。楽しかったよ。大好き。これからも一生愛してる。ちゃんと見守ってるからね。」

最初は、『急にどうしたんだろう?』そう思った。

だが、それはすぐにわかった。

紫葵が飛び降りたのだ。

ありえなかった…

目の前で紫葵が死んだのだ。

私は何もわからなくなった。

ただそこにうずくまっていただけだった。

精神が不安定になっていたのだ。

いつの間にか意識はなくなっていた。

目が覚めると病室の天井がうつっていた。

真白で何も無い。

その日からの私は抜け殻のようだった。

紫葵のいない世界。

現実を突きつけられた。

これからどうやって生きていけばいいのか。

「紫葵、紫葵。」

何も分からない。

無意識に叫んでいたのだろうか。

声が出なくなった。

目から雫が落ちる。

何も受け入れたくない。

そう初めて思った。