「鳴海くんてなんで髪赤いの?」

「好きな漫画の主人公が赤髪なんすよ。超カッコいいんすよ!
同じ色に染めれば俺も主人公になれるかなーと思って染めたっす」

「…あたしのことドン引きする資格は君にはない」


えーなんすかそれ、

不満げにぶつぶつ言っている顔を横目で見ると、夕陽に透けた赤い髪がキラキラと光っていた。


…たしかに。

ちょっとだけ、漫画の主人公っぽい。


「柚山先輩もちょっと漫画の主人公っぽくないっすか?」

「あれのどこが主人公なの…
口は悪いし言葉は陰湿だし態度でかいし」

「でも顔はめちゃくちゃかっこいいし、ほんとは優しいとこもあるっすよね!」

「……………」



たしかに。

今日なんだかんだ言いながら、体調悪いあたしを少しだけ気遣ってくれた気がする。

少しだけね。


振り返った時に見えた
あのはにかんだ笑顔を思い出して、ふっと笑った。