二人ぶんの体温計をしばらく見つめた先生は、「しばらくここで寝てなさいね」とだけ言ってカーテンを閉めた。


天井を薄目でぼんやり見ているとだんだんと眠たくなってくる。

まぶたが閉じそうになった瞬間、


「…あのー、八宏先輩、でしたっけ。
大丈夫っすか?」


仕切られたピンクのカーテンの向こうから、遠慮がちに小さな声がした。



「あたしは大丈夫だよ。
鳴海くんは大丈夫?熱あるんだよね?」

「俺も大丈夫っす!
よく熱出すんで慣れてるんスよ。」


「そっか。
あたしあんまり熱出したりしないから…
久しぶりに熱出すと結構しんどいんだね。」


コソコソと声を潜めて話していたけど、先生には聞こえていたようで。
咳払いが聞こえて、慌てて再び布団を被った。


そうしているうちにまぶたはどんどん重くなって、

いつの間にやら眠りの世界へと沈んでしまっていた。