「涼しいことって何」


さりげなく外された手に名残惜しさを感じていると、
何かを察した顔のリエちゃんと目が合う。

気まずい。


「これだよぉ〜ん」

自慢げに鈴木が取り出したのは、
真っ黒なDVDのパッケージ。


「あ、これ最近流行りのホラー映画でしょ」

「正解〜!!
これ見て涼しくなろうぜ?」


どこから取り出したのか、パソコンを手際よくセットする鈴木。

あっという間に映画が始まってしまった。






評判どおり、
なかなか映画は面白いと思う。


面白いんだけど。



「…普結くん、さっきから目押さえてどうしたの」


両手で自分の目を覆ったポーズのまま固まる普結くんが気になって、
映画に集中できない。

まさか怖いの?

ホラー映画なんてバカにしそうな普結くんが?