「あのー……えっと、私の分も、作ってくれるんですか?」
「いるんならだけど」
さらっと黒髪が揺れて、耳にあるピアスがきらりと光る。
そんな一連の動作もカッコいいんだから、イケメンはつくづく得。
「……あとで請求されたりしませんよね?
まあ、されたら払いますけど」
おずおずとそう言えば、亜雁くんはポカンとして。
……数秒後、くつくつ肩を揺らし始めた。
普段遠巻きにしか亜雁くんの笑顔は見たことなかったけど、やっぱり笑うとちょっと無邪気になるというか……って、
いや、私結構真面目な話をしたんだけどな。
「請求て……されたら払うんだ?」
「ご親切に寝床を用意してくれたんです。当たり前かと」
亜雁くんは笑顔を引っ込めて、ふ〜んと謎の相槌を打ったあと、で?と首を傾げた。
「いるの?いらないの?」
「……お願いいたします」
ベッドの上で土下座をすると、亜雁くんは了解とあくびを交えながらそう言ってくれた。