その言葉を理解するのに数秒。
そして、行動に移すのに1秒ほど。
「……亜雁くん、そんなキャラでしたっけ?」
ほんの少し胸を押し返すと、亜雁くんは大人しく退がってくれた。
「んー、どうだろうね?」
彼は乾いた笑い声を漏らし、キッチンへと向かう。
「亜雁くん、ここはどこですか?」
ベッドから降りながらそう問いかけると。
「俺んち」
短い返答が返ってきた。
「じゃあ、私はなんでここに?」
どうやら、外にいた時となんら変わらない格好らしい。私の荷物も、部屋の隅に置かれてるし。
亜雁くんはテーブルの上にご飯を並べると、チラリと一瞬切れ長の瞳を向けてきて。
「弥代さんが、寒そーに公園のベンチで寝てたから連れてきた。覚えてない? あの時起きてたんだけど」
えっ、ということは、同意の上ってこと?