……あったかい。


体が温もりに包まれている感じがして、目が覚めた。



こんなに暖かいのはいつぶりだろう。

心地良くて、このまままた微睡の中に沈んでいこうとしたけど。


その温もりが、すう、と離れた。




やだ……っ、いかないで。




ほとんど条件反射だった。


ぎゅっ、とその温もりに抱きつくようにしがみついて。



……その、瞬間。




「────へぇ。意外と大胆なんだね」




声がした。
それも、よく聞いてる声。


頭の中に霞がかかったものが徐々に晴れていく。


まだ寝てたいけど……ゆっくりと、本能に従って目蓋を開けた。

すると。



「おはよ、弥代(やしろ)さん」




最早神々しいくらいに整った顔が、目の前にデンっと存在していた。