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「……ええっ?!
あの亜雁の家にお邪魔っ……?!」
教室内で叫びそうになった璃乃の口を慌てて両手で塞いだ。
絶対叫ばないでって言ったのに……!
結局私は、あの後亜雁くんのご飯をいただいて学校に来た。……正直言って、めちゃご飯美味しかった。もう一回食べたいくらい。
亜雁くん、いつもお弁当じゃなくて購買のパン食べてたから、自炊のイメージが全然なかった……じゃなくって!
「ぜっっったいに、このこと誰にも喋らないでよ?!」
「……まあ、千雨がそう言うなら」
こんなこと、璃乃はともかく、他の女子に知られたらただじゃすまない気がするし。
「それでそれで?一体何を話したの?」
「何って……特に何も」
「え、食事中話してないの?」
「そんな空気じゃなかったよ……」
ひとりで食べるご飯より沈黙がキツいってことを、あの時しらしめられた気がした。