「もう少し大きくなったら教えてやるから」



陶山先生は煙草を口にくわえながら、私の頭をポンポンと優しく叩いた。



「えー、それっていつよ」


「んー?せめてお前が高校卒業してから、かな」


「……そこはハタチじゃないんだ?」



私が笑うと、陶山先生は


「まあ、そこは誤差ってことで」


と口を濁した。


ーー卒業まで、あと1年と10ヵ月。


今はまだ緑が芽生えたばかり。