「美郷ってさ、たしか悩んだりするとここ来るんだよな」



はは、と笑いながらトキちゃんは私の顔を見た。



「……なんか悩み事でもあるのか?」



ズルい。


こういうときにそんなことを言うなんて。

いつまでも、トキちゃんには敵わない。



「就活。なかなか上手く行かなくて」



大学4年の夏。


周りは続々と内定を貰っているのに、私は一向に内定が出ない。


その状況に、正直焦っていた。