「ほんと、山谷って顔に出やすいよね」 ははっ、と岡井は高笑いをすると私の飲んでいた梅酒に口つけた。 「ずっと気付いてなかったかもしれないけど、山谷って嘘つくとき、右の口角だけ上がるんだよ」 「……ほんと、岡井キライ 」 本当、アンタってヤツは。 「また、上がってるよ。こっちだけ」 岡井は、顔を背けた私の右頬を指で触った。