何億もの星に想いをのせて。〜キミには敵わない〜



「ど、どういうことですか?‥。」


少し戸惑っているが、さすが歩夢。

冷静だ。




『そのままの意味だよ。』


花を殺そうとした。

そう。そのままの意味。



「意味が分からない。」


うん。そうだな。

皆んなそんな顔をしている。




『そうだな。分からないよな。最初から話してもいいか?』


白狼になった理由も、

龍と会った理由も、

花を殺そうとした理由も、

此処に入った理由も、






今から話すよ。聞いてくれ。


俺は、ずっと1人だった。

母はシングルマザーで俺を育てた。

育てたというより、俺にお金を渡してご飯を買えという意味だ。

母は、毎日男と遊んでいた。

俺は、ろくに母と会話をしたことがなかった。

そして、俺が中1になった頃。

母が再婚した。それまでは、よかったが、男と2人で暮らすと言い出した。

あぁ、いつになっても1人なんだ。

俺は誰からも愛されない。


いつからか、そう思うようになった。


悲しみ。

怒り。

いつからか、俺は無表情になっていった。

そして、ストレス発散のためケンカをしたんだ。


ある時には、何もしてないのにケンカを売られて、

ある時には、女に逃げられて、


俺はケンカが弱かった頃に、

酷い怪我をしたんだ。

死んだと思ったよ。あの時はな。

あの時からだ。花と出会ったのは。


「だ、大丈夫?怪我してるっ!」


また、他の女みたいに逃げられるんだと思った。

他の男に情報を売られたり、利用されるだけだと思った。


「家、どこ?近い?」


キミは、他の女と違った。

優しかった。暖かかった。初めて人に優しくされた。


もうこの暖かさからは、逃れられなくなった。

花がいないと俺は生きていけなくなった。

それから、花は毎日俺の家に来て看病してくれた。

俺の怪我が治っても、毎日来てくれた。

それから、色々話していくうちに

恋が芽生え出したんだ。




そして、俺たちは付き合った。

恋人同士になった。

初めて愛して、愛されてもらって嬉しかった。



『花、星好きだろ?見に行こうぜ?』


懐かしい。何回も星を見に行ったな。



『花、好きだよ。』


何回も俺は花に言った。

それに応えてくれて「私も好きだよ。」って言ってくれた。

安心した。愛されてるんだって。

いつまでもこんな日が続きますように。

星に俺は願っていたんだ。


花は、中2の6月に居なくなった。

何日待っても、花は現れなかった。


『花が戻ってきますように。』


『帰ってきますように。』


ずっと願い続けた。


けど、花が生きがいだった俺は花が居なくなっておかしくなったんだ。

あぁ、また裏切られたんだ。

花も他の女と一緒だ。

俺はまたっ。

そして、ある時から


『許さない。殺してやる。』


そう思っていた。


俺は花を殺すことが生きがいとなっていた。


殺すためには、もっと強くなって。

花を探し出さなきゃいけない。


だから、ケンカもしてハッカーの勉強もした。


その時、龍に会ったんだ。


「なぁ、お前白狼だろ?」


最初はウザかった。

花を殺す事ばかり考えていた。

だから無視をした。逃げた。

それたら、龍は懲りずに追いかけてきて‥。

いつからか、それが当たり前になった。