『ここは、公園か‥‥。』
いきなり、後ろから眠らされたんだな。
理解するのに時間はかからなかった。
あれは、金舞だろう。
姿は見てないけど、直感だ。
俺の勘はよく当たる。
って、花は‥。
花がいない!!
それを知った途端に急に胸が張り裂けられそうだった。
まさか、連れ去られたのか。
花だけを?元々花が目的だったのか。
クソっ。
すぐ様、翔に電話をする。
『翔!!』
「うぉ、声でねぇーよ。」
そんな場合じゃないんだよ。
何時間眠らされた?
1時間ぐらいか。
『翔、そんな場合じゃない。花が連れ去られたんだっ。』
ヤバい、ヤバい。落ち着け。
焦っては逆効果だ。
「な、なんだって。それは本当か?!」
翔も驚いている。
『あぁ、本当だ。それより、みんなに倉庫へとくるように言え。』
「え?‥お前‥。」
なんだ?俺の喋り方か?
さわやかキャラらはもう必要ないんだ。
『いいから、早く!!俺もすぐ向かう。』
翔は戸惑っているけど、俺はそんな事どうでも良くて‥。
今は、花の安全が大事だ。
「あぁ、わかった。電話してすぐに向かう。」
そう言って電話を切った。
花っ。はなっ。は、なっっ。
花!!
俺は昔のようにそう呼んでいた。
キミがいなくなった日のように。
ーー無事でいてくれーー
さっきからずっとそう祈っている。
あぁ、やっと分かったよ‥。
俺の気持ち。
やっと気づいたよ‥。
俺の本音の本音。
キミの笑顔を見て胸が痛くなるのも。
殺すのを迷ってたときも。
キミと公園に言って話したときも。
キミが無事かどうか心配してるのも。
全部、やっと分かった。
昔もこんな気持ちを持っていたじゃないか。
最初から、ずっと俺はっ。
ーーーキミが好きだったんだーーー
キミがこの学校にいると分かったとき
『やっと殺せる』とそう呟いた。
けど、本当は"やっと会える"。
そう思ってたじゃないか。
キミが隣にいる。
それだけで安心して。
俺は本当の笑顔だった気がする。
いつの間にか偽りの笑顔も無くなってた。
キミに「ねぇ、私を殺したいの?」って聞かれてた時、
やっと俺の想いをわかってくれる。
楽になれるって嬉しかったんだ。
キミの事を殺したいって言いながら、
本当はもう一度、キミと恋がしたかったんだ。
ーー俺は全部全部言い訳してーー
なぁ、本当は気づいてたんじゃないのか?
そうだろ?俺っ!!
『はぁ、はぁ、ごめん!ごめんな‥はな!』
俺は謝りながら倉庫まで向かった。
ー俺が今できる事はキミを助けること。ー
俺がくるまで無事で居ろよ。