『花、いつか全て聞いてくれ。』
「‥うん、待ってる。それと、そっちの話し方の方が私好きだよ。」
あっ、俺っ。
素で話してたみたいだ。
もうしょうがない。さわやかキャラも意味がないしな。
『どこまで、俺のこと分かってんだよ‥。あぁ、これからは素で話す。』
何をしても、何を想っていてもキミには敵わない。
俺達は、仲良く前みたいな関係に戻った時だった。
事件が起きたのは。
いきなり後ろから忍び寄ってくる影に気付かなかった。
「んっんんー、‥‥。」
『なん、だ、‥よ、‥‥。』
誰かに口にハンカチを当てられている。
気づいたときには、
俺達、二人は薬で眠らされていたんだと理解する。
『ここは、公園か‥‥。』
いきなり、後ろから眠らされたんだな。
理解するのに時間はかからなかった。
あれは、金舞だろう。
姿は見てないけど、直感だ。
俺の勘はよく当たる。
って、花は‥。
花がいない!!
それを知った途端に急に胸が張り裂けられそうだった。
まさか、連れ去られたのか。
花だけを?元々花が目的だったのか。
クソっ。
すぐ様、翔に電話をする。
『翔!!』
「うぉ、声でねぇーよ。」
そんな場合じゃないんだよ。
何時間眠らされた?
1時間ぐらいか。
『翔、そんな場合じゃない。花が連れ去られたんだっ。』
ヤバい、ヤバい。落ち着け。
焦っては逆効果だ。
「な、なんだって。それは本当か?!」
翔も驚いている。
『あぁ、本当だ。それより、みんなに倉庫へとくるように言え。』
「え?‥お前‥。」
なんだ?俺の喋り方か?
さわやかキャラらはもう必要ないんだ。
『いいから、早く!!俺もすぐ向かう。』
翔は戸惑っているけど、俺はそんな事どうでも良くて‥。
今は、花の安全が大事だ。
「あぁ、わかった。電話してすぐに向かう。」
そう言って電話を切った。
花っ。はなっ。は、なっっ。
花!!
俺は昔のようにそう呼んでいた。
キミがいなくなった日のように。
ーー無事でいてくれーー
さっきからずっとそう祈っている。
あぁ、やっと分かったよ‥。
俺の気持ち。
やっと気づいたよ‥。
俺の本音の本音。
キミの笑顔を見て胸が痛くなるのも。
殺すのを迷ってたときも。
キミと公園に言って話したときも。
キミが無事かどうか心配してるのも。
全部、やっと分かった。
昔もこんな気持ちを持っていたじゃないか。
最初から、ずっと俺はっ。
ーーーキミが好きだったんだーーー
キミがこの学校にいると分かったとき
『やっと殺せる』とそう呟いた。
けど、本当は"やっと会える"。
そう思ってたじゃないか。
キミが隣にいる。
それだけで安心して。
俺は本当の笑顔だった気がする。
いつの間にか偽りの笑顔も無くなってた。
キミに「ねぇ、私を殺したいの?」って聞かれてた時、
やっと俺の想いをわかってくれる。
楽になれるって嬉しかったんだ。