何億もの星に想いをのせて。〜キミには敵わない〜


やっと分かったよ。自分がどう思っているのかを。

でもキミには言わない。

いや、言えない。こんな憎い感情を持っていることを俺は言えない。


だから俺は、


『嫌いじゃないよ。花のこと。それに、殺気出してたかな?そんなつもりなかったんだけど。気のせいだよ。』


俺は逃げるんだ。弱虫なんだ。

都合の悪いことからはすぐに逃げる。



「そ、そっか。気のせいか。」


なんだか、納得しない顔で言う。


『長く話しすぎちゃったね。帰ろうか?』


俺は無理やり話をら終わらせる。


ごめん。こんな俺で。

情けない。

俺は花と公園に行ってから3日たった。

それからは、学校でも倉庫でもあまり話しをしない。

必要最低限のこと以上は。

でも、話す時はもちろんどちらとも笑顔で。

上手く笑えてるかは分からないけど。


ずっと考えてるんだ。

これから、どうしたらいいかを。

俺は花を殺すために生きてきた。

だから、今はどうしていいか分からない。


何のために生きてきたんだ?



ーー俺は、どうしたらいい?ーー



本音を話したら、キミはどうなるのだろうか。

俺は今、偽名だか、渡辺春って知ったらどうなるのだろうか。

キミはどんな顔をする?

俺は考えなかった。

キミがいなくなった理由を。

本当に裏切ったのか。ということを。

裏切られた。それしか、考えなかったんだ。



キミに会ってから、

純粋なその笑顔を見た時から、

キミは裏切ってないかもと本当は思っていた。

でも、自分の意思をら貫きたかったんだ。

裏切ってなかったんなら、今まで俺は何をしていた?

そう思っていたからだ。

これはただの言い訳だ。

ちゃんと理由を考えるべきだったんだ。

ごめん、花。


俺は今日もあまり話さなかった。

だけど、帰りはいつも一緒に帰っていた。

なにも話さなかったけど。


でも、今日は違がった。


「ねぇ、公園で星を見ようよ。」


『‥うん、いいよ。行こうか。』



静かに花は口を開く。

だから、俺も静かに答えた。




「やっぱり、綺麗だね。」


星を見上げてちょっと、切ないそうに言う花。

なんでそんなに切なそうなんだよ。

花っ。俺はキミの声、仕草、顔を見るだけでも胸が痛くなっていた。


あぁ、また痛い、、、。

何だよっ。何でこんなに痛くなるんだよ。


『うん、綺麗‥。』


俺もそう答えていた。

今日は一段と星がたくさん光っている。


そして、数秒の沈黙の後、花が口を開いた。



「ねぇ、私を殺したいの?」


あぁ、そこまで見透かされていたとはな。

確かに最初から見透かされていたら、全部見透かされていたかも知れない。

あの時も。あの時もっ、、。

俺は何回も殺したいって思ってたもんな。

それなのに、いつも俺に変わらず接してくれた。

やっぱりお前は優しいよ‥。

強い目だ。真剣に答えて欲しいと俺にいっている。

こんな目に敵うはずがない‥‥。


『‥‥本当にっキミには敵わないなぁ、、。』


気づけば、本音が漏れていた。




「え?」という花。


『そうだよ。キミが憎くて憎くて、殺したくてたまらなかった。』


今までの俺は、な。

本当にキミを殺したいと思っていた。


「っっ。そ、そっか。やっぱり‥」


俺は花の声を遮って付け加える。


「それは今までの俺だ。でも、今は分からないんだっ!俺はどうしたらいいか分からないんだよっ。」


この時、俺はこの何とも言えない感情に振り回されておかしくなっていた。