何億もの星に想いをのせて。〜キミには敵わない〜



『うん、覚えてるよ。それがどうかした?』


その時に俺がなんかしたか?

全く分からない。


「その時、なんだか懐かしいって思ってたの。」


懐かしい?


「それと‥それとね、春正から殺気を感じたの。私に対してだと思う。少しだけどね?」


あの時、俺は上手く隠せてなかったのか。

あぁ〜。何してんだよ。

最初からバレてだなんてな。情けない。

「違ってたらごめんね?」なんて言ってくる。

違わないよ、キミがあってるよ。


続けてキミは言う。

「その時、キミは強いんだって思った。それと、貴方の目がとても黒くて闇に染まっていた気がしたの。だから、助けたいって。救いたいって思ったの。」


あぁ、そうか。そうだったんだな。

確かに、闇に染まっていたと思う。

あの時は、本当に殺したくてたまらなかった。

でも、今はーー?


「本音は?本音はどう思ってるの?」

俺が色々考えている間に彼女がこう聞いてきた。




あぁ、やっぱり敵わない。

見透かされているな。

俺はこんなに苦しんでいたって言うのに。

一瞬で解き放たれてしまいそうだ。


ーーもう楽になりたいーー


そう思ってしまった。


『キミが‥憎かった。殺したいと思っていた。だけど今は分からない。』


そう。これが今の気持ち。

本音だよ。キミはやっぱりすごいね。

敵わないよ。キミには。

やっと分かった。自分がどう思ってるのいるのか。


やっと分かったよ。自分がどう思っているのかを。

でもキミには言わない。

いや、言えない。こんな憎い感情を持っていることを俺は言えない。


だから俺は、


『嫌いじゃないよ。花のこと。それに、殺気出してたかな?そんなつもりなかったんだけど。気のせいだよ。』


俺は逃げるんだ。弱虫なんだ。

都合の悪いことからはすぐに逃げる。



「そ、そっか。気のせいか。」


なんだか、納得しない顔で言う。


『長く話しすぎちゃったね。帰ろうか?』


俺は無理やり話をら終わらせる。


ごめん。こんな俺で。

情けない。

俺は花と公園に行ってから3日たった。

それからは、学校でも倉庫でもあまり話しをしない。

必要最低限のこと以上は。

でも、話す時はもちろんどちらとも笑顔で。

上手く笑えてるかは分からないけど。


ずっと考えてるんだ。

これから、どうしたらいいかを。

俺は花を殺すために生きてきた。

だから、今はどうしていいか分からない。


何のために生きてきたんだ?



ーー俺は、どうしたらいい?ーー



本音を話したら、キミはどうなるのだろうか。

俺は今、偽名だか、渡辺春って知ったらどうなるのだろうか。

キミはどんな顔をする?

俺は考えなかった。

キミがいなくなった理由を。

本当に裏切ったのか。ということを。

裏切られた。それしか、考えなかったんだ。



キミに会ってから、

純粋なその笑顔を見た時から、

キミは裏切ってないかもと本当は思っていた。

でも、自分の意思をら貫きたかったんだ。

裏切ってなかったんなら、今まで俺は何をしていた?

そう思っていたからだ。

これはただの言い訳だ。

ちゃんと理由を考えるべきだったんだ。

ごめん、花。


俺は今日もあまり話さなかった。

だけど、帰りはいつも一緒に帰っていた。

なにも話さなかったけど。


でも、今日は違がった。


「ねぇ、公園で星を見ようよ。」


『‥うん、いいよ。行こうか。』



静かに花は口を開く。

だから、俺も静かに答えた。