何億もの星に想いをのせて。〜キミには敵わない〜


分からない。どうしていいのか。

答えが見つからない。



あれから3日が経った。

3日間なにもなかったな。

金舞もなにもしてこないし。


俺達はまた、倉庫から家へ帰る所だった。

「春正ー!!」と花に呼ばれる。


『あ、花。帰ろっか?』


「うん!」


俺達は、いつも一緒に帰っていた。


『ねぇ、また、公園行かない?』


俺は無償にキミと星が見たくなった。

なぜだか分からないけど。




「公園?いいよー。行こう!!」


そう言ってくれると思ったよ。

ごめんな。お前と星が見たくなったんだ。

付き合ってくれてありがとう。


「うわぁー。今日も星が綺麗‥‥。」


『見て!月も綺麗だよ。満月だ。』


月も綺麗だ。

ほんとに。純粋に月も星も光っている。


「月が綺麗‥。」


ん?どうした。

なんで顔が赤くなってるんだ?


『顔が赤くなってるよ?大丈夫?』


「え?あぁ、いや。その‥‥。なんでもないっ。」


俺はキミが顔を赤くしている理由が分からなかったんだ。


月が綺麗だよ。=キミが好きだ。

なんていう意味を俺は知らなかったんだ。


「‥ねぇ、聞いてもいい?」


静まり帰った静寂の中、花がそれを破る。


『ん?なに?』


改まってどうしたんだ。

そんなに聞きにくいことなのか?

答えられる範囲なら答えるぞ。


「あのね‥‥春正は‥私が嫌い?」



嫌いか‥‥。

前までの俺なら「嫌い」とすぐに思うだろう。

でも、今はわからない。

ほんとに殺したいのかも分からない。


『なんで、そんな事聞くの?』


ただ単になんでそんな事聞くのか気になった。

意図がわからない。


「だってっ‥、ねぇ、最初にあった時覚えてる?」


最初?つまり、この姿だから職員室を教えてもらった時とことだな。



『うん、覚えてるよ。それがどうかした?』


その時に俺がなんかしたか?

全く分からない。


「その時、なんだか懐かしいって思ってたの。」


懐かしい?


「それと‥それとね、春正から殺気を感じたの。私に対してだと思う。少しだけどね?」


あの時、俺は上手く隠せてなかったのか。

あぁ〜。何してんだよ。

最初からバレてだなんてな。情けない。

「違ってたらごめんね?」なんて言ってくる。

違わないよ、キミがあってるよ。


続けてキミは言う。

「その時、キミは強いんだって思った。それと、貴方の目がとても黒くて闇に染まっていた気がしたの。だから、助けたいって。救いたいって思ったの。」


あぁ、そうか。そうだったんだな。

確かに、闇に染まっていたと思う。

あの時は、本当に殺したくてたまらなかった。

でも、今はーー?


「本音は?本音はどう思ってるの?」

俺が色々考えている間に彼女がこう聞いてきた。




あぁ、やっぱり敵わない。

見透かされているな。

俺はこんなに苦しんでいたって言うのに。

一瞬で解き放たれてしまいそうだ。


ーーもう楽になりたいーー


そう思ってしまった。


『キミが‥憎かった。殺したいと思っていた。だけど今は分からない。』


そう。これが今の気持ち。

本音だよ。キミはやっぱりすごいね。

敵わないよ。キミには。

やっと分かった。自分がどう思ってるのいるのか。


やっと分かったよ。自分がどう思っているのかを。

でもキミには言わない。

いや、言えない。こんな憎い感情を持っていることを俺は言えない。


だから俺は、


『嫌いじゃないよ。花のこと。それに、殺気出してたかな?そんなつもりなかったんだけど。気のせいだよ。』


俺は逃げるんだ。弱虫なんだ。

都合の悪いことからはすぐに逃げる。