「見た目やいる世界がいくら変わったって、人間の根幹の部分は、変わらない。夏美が変わったと感じたなら、こんな俺でも成長してるってことなんだと思うよ」

「変わったんじゃなくて、成長……」

「俺だけじゃないよ。夏美だってそういうところあると思うよ」

 そう言われて、再会した日のことを思い出す。

 そうだ。拓海は気まずい過去をなかったことにして、窮地に陥っていた私を助けてくれた。たしかに、なにも変わっていない。困っている人がいれば、後先考えず助けに向かう。は、昔からそういう人だった。


「だから、住む世界が違うだなんて、そんな悲しいこと言わないで」


 見上げた拓海の顔は、なにかに傷ついたような、痛々し気な表情のように見えた。

 きっと拓海は、そういうことを感じさせずにつき合える私のことを、友人として気に入ってくれてたはずなのに。


「俺さ、最後に夏美に会ったときに言われたこと、本当に堪えたんだ」

「拓海……、覚えてたんだ」

「忘れたくても忘れられるはずないよ」


 拓海は、やはり覚えていた。彼が心配してかけてくれた言葉に、反発した私はひどい言葉を投げつけた。

 いくら後悔したところで、私が発した言葉を取り消せはしないのに。彼の表情を見ていると、申し訳ないと思う気持ちが波のように押し寄せてくる。