一番気にしていることだと思ったんだけれど、さすがにそれだけじゃ素っ気なかったかな?
「……ごめんね。こはるがあまりに寂しそうで。日本に戻ったら、いっぱいかまってあげて」
こはるの不機嫌は今にはじまったことではないけれど、あの意気消沈ぶりは目に余るものがある。早く拓海に会わせてあげたいと思ったのも本当だ。
『わかった、そうするよ』
それだけ言うと、また沈黙が続く。
「拓海?」
『……こはるのことはわかったけど、夏美は?』
「え?」
『夏美は俺がいなくて寂しくないの?』
ストレートな質問に、顔が熱くなってくる。
「そんなの、寂しいに決まっているじゃない!」
ついムキになって、正直に口に出してしまった。
私のことをからかいたくてわざわざ電話をしてきたんだろうか? 以前は笑って許せていた拓海のいたずら好きが、今は少し恨めしい。
しかしスマホから聞こえてきた彼の返事は、予想外のものだった。