「俺射的したい」
「私にもできるかな」
「来いよ、おしえてやる」
拓海に手を引かれ、射的の露店へ向かう。二人分お金を払い、並んで銃を構えた。
「あ~、ダメだ。全然当たらない」
どんなに狙っても、的のお菓子にあたらない。となりを覗くと、拓海は露店のおじさんから、三個目のお菓子を受け取っているところだった。
「すごい、どうやったらそんなに当たるの?」
百発百中とまではいかなくても、拓海はかなりの高確率で当てている。
「夏美はゼロか」
「悪かったわね」
膨れる私に、拓海は「そういう意味じゃないよ」と笑いかける。
「どれ狙ってたんだ?」
「私はねー、あれ!」
指差した先にあるのは、チョコチップクッキーが入った箱入りのお菓子だ。
「ああ、納得。もっと落ちやすいものを狙わなきゃ」
「じゃあどれ?」
「あれにしよう」
そう言うと、拓海は小さめのスナック菓子が入った袋に狙いを定めた。
「真正面じゃなくて、ちょっと右上を狙うんだ。回転を利かせて下に落とすようなイメージで」
拓海はポケットからコルク玉を取り出すと、吟味するように手のひらの中で転がした。一つを取り玉をこめると、狙いを定めて引き金を引いた。