「すまんっ!!!」


直ぐに仰向けになっていた織果を抱き上げ、座った体勢のまま抱き締めた。

俺の肩を織果の涙が濡らしていく。


「ごめしゃい、ごめしゃい、」

「・・・いやお前が謝るなよ。」

「でも私がちっちゃいせいだもん!20歳の私だったらきっと怖くないもん!」

「・・・・・・」


・・・・どう考えても俺のせいだろう。

自分で願っておきながら都合のいい時だけ20歳に戻ればいいのになんてほんと最低だ。

自分の欲求のせいでこんな小さい身体を震えさせて、何やってんだよ・・・・


俺は織果が落ち着くまで暫く玄関で抱き締めていた。


やっと俺だけのもんになったっていう想いと自分のせいで力が失くなった織果を死ぬ気で守らなきゃっていう想いがせめぎ合って、正直何をどうしていいか分からない。

一緒にいればいる程触れたくなるし、かと言って距離を置く訳にもいかず、小さい織果と付き合うのがこんなにも難しいことなのかと痛感させられる。


須藤に「死ぬ気で保護れ」と言われた意味が今になって胸に刺さる。



「・・・・里桜、」

「ん?」

「お腹すいたね。」

「・・・だな。」

「里桜、」

「何?」

「里桜のシャツ、濡れちゃったね。」

「ああ、よく泣くようになったよなお前。」


織果がエコバッグの中から鶏肉を出してきて一緒に作ろうと俺に差し出す。

急に生の鶏肉を見せられて溜め息が出たが、織果の頭を撫でてやると目尻に涙を残しながらも笑顔になった。