体育館を使っていたのはバレー部だった。

「声出してこー!」

すごい熱気。The部活動って感じ。

「すごいねー」

「うん……」


友恵は誰かを探してるみたいだった。

「あれ、ともちゃん?」

「たっ滝川!!」

友恵?!こ、声が違うよ。

「来てくれたんだ〜ありがと〜」

「ちょちょっと様子を見にね〜」

なるほど。友恵の表情を見て理解した。

この人が友恵の好きな人だ。友恵は嬉しそうな恥ずかしそうな顔してる。素直じゃないなー、友恵は。

いつもと違う友人の姿はなんだかかわいくて、ニヤニヤしちゃう。


それにしてもこの滝川って人、背が高くて、笑顔が上手な人だな。爽やか〜ってオーラが出てる。


って思ってたら


ドカッ

滝川君の後頭部にボールがあたって滝川くんの頭が前に吹っ飛んだ。
なかなかにかっこいいお顔が一瞬崩れたよ!

「ちょっとだいじょぶ?!」

心配する友恵。

「だいじょぶ、だいじょぶ、いつものこと。」

いつものこと?

「おい滝川!練習!!」

あっ。あの人!

靴箱でお昼ぶつかった人だ。バレー部だったんだ。え、ていうか今この人、人の頭にサーブした?

「全くお前は……」

そう言って靴箱の人は、当たり前に滝川くんの首根っこを掴んでコートに戻っていく。

「いずみーん、勘弁してよ〜」

「オレが勘弁してほしいわ!」

滝川君のお母さんみたい。笑えてきちゃう。

と、何を思い出したか

「あ、そだ。梨川も見学なら上で頼む。」

「お、おけ。行こ紅」

え?!

「今の人と知り合い?!」

先に体育館上の階段を登った友恵を追いかけた。

「え、そうだよ。同じクラスじゃん。」

「え?!」

「ちょっとー、同クラの子ぐらい覚えようよ」

苦笑気味の友恵。

そりゃまだ顔と名前は一致してないとこあるけど、え、えー


じゃあ四限にその人のこと考えてたのに、その人教室にいたの?

えーー?!

「な、名前なんて言うの?」

「和泉 一」

「……いずみ、いずみくん」

だから『いずみん』か。苗字からのあだ名なんだ。いずみんって響きが可愛らしい。

ふふっ