よく見れば、陸兄は大きなバッグと紙袋を持っていた。


「陸兄も旅行だったの?」

「違うよ。寮に帰るんだよ」

「もう??休みに入ったんじゃなかったの?」

「正月にはまた戻って来るよ。それより旅行は楽しかった?空人はもう一人で馬に乗れるのか?」


「余裕」
「馬に選る(よる)

返事したのは空人と嶋村くん。



「なんだよ正騎、馬に選るって」

「そのままだ。多分、お嬢の愛馬はお前には乗れないよ」

「そうか。嶋村くんは子供の時から乗ってたプロだからな。というかお前、嶋村くんのが先輩だろ。俺を差し置いて嶋村くんを呼び捨てにするとはな」



仲良さげな3人。

屈託なく話す姿を見ていたら羨ましくなってきた。



私も男だったらな



なんて思っていたら嶋村くんだけが視界に入る。

考えないようにしていた事を思い出しそうになる。




今はまだ無理。

考えたくない。