「雪姫」


ぼそっと呟くような声で呼ばれた。




だからまた心配かけたのかと思って振り向こうとした……。

途端に、グッと腰を引かれたと思ったら嶋村くんの右腕が肩にまわされて……。


完全に抱きしめられていた。




「……雪姫……好きだ」

「………」

「……道場で知り合ってからずっと雪姫が好きなんだ」

「………」




一瞬、私の気持ちを言われたと思った。

気持ちがバレたのかと。




私、じゃない。

……嶋村くん?




嶋村くんが!?




「……急にごめん……」



ふっと抱きしめられた力が緩み、拘束を解かれる。


「でも考えてほしい。俺のこと。……返事は急がなくていいから。
それまでは近くにいる事、許してくれるかな?」






無言で頷くしか出来なかった……。